トット基金
日本ろう者劇団
プロフィール


 
日本ろう者劇団は昭和55年4月、演劇の好きな仲間を集めて「東京ろう演劇サークル」として設立し、障害の有無にかかわらず、視覚的に誰もが楽しめる演劇創りを目指して活動を開始しました。その後、黒柳徹子さんと出会い、トット基金の付帯劇団となり、日本ろう者劇団と改称。創作劇、手話狂言等、劇団独自のレパートリーを持って全国各地を公演しています。また、イタリアなど招聘され海外公演にも力をいれています。
 ここ数年はろう者独自の演劇のジャンルを確立するため、数々の創作劇を発表してきました。
平成13年度には「アントナン・アルトーの『チェンチ一族』による『ある砂の家族』」、平成14年には『翼のない天使』を上演しました。昨年度は、大坂竹本座での初演から300年たったことを機に、長年温めてきた劇団初の「日本もの」企画、『お初 曽根崎心中の真実』の上演を実現しました。
 手話の世界と文楽との融合を図ったこの作品は、「わかりやすく、感情移入できる」とろう者の観客の評判も上々で、今後は日本ものに積極的に取り組もうという目安にもなりました
 今後も、手話の持つ魅力と演劇の素晴らしさを伝え広めていきたいと活動しています。

社会福祉法人トット基金について
社会福祉法人トット基金は、多様な福祉サービスがその利用者の意向を尊重して総合的に提供されるよう創意工夫することにより、利用者が個人の尊厳を保持しつつ、自立した生活を地域社会において営むことができるよう支援することを目的として、次の事業を行っています。
○ 身体障害者通所授産施設トット文化館の設置経営
○ 身体障害者の更生相談
○ ろう者劇団活動に関する事業の運営

「トット基金」と「日本ろう者劇団」の代表等
トット基金理事長・黒柳 徹子
日本ろう者劇団代表  米内山 明宏

手話狂言について
当劇団は和泉流狂言師・三宅右近先生の熱心なご指導により、ろう者として本格的な狂言を、昔から継承された狂言特有の動き、運び足をそのままに演じておりますが、手話の表し方も出来るだけ古い手話を使うように心掛けております。狂言の基本的な動きからセリフの手話の研究、また、狂言を観劇して身体の動きなどを学び古典芸能にふさわしい手話狂言を創ることに努めました。三宅先生ご自身も、手話のセリフと声のタイミングや、間のとり方にもいろいろと工夫を重ねられ、古典芸能の強靭さも持つ手話狂言が誕生しました。セリフを手話で表情豊に表現し、その手話に声のセリフをアテレコすることによって、聞こえる人も聞こえない人もともに楽しむことができます。

横濱世界演劇祭への参加作品
 「手話狂言」演出・指導:三宅右近、三宅右矩

横濱世界演劇祭2006招聘について
横濱世界演劇祭のメインタイトルに「違いを越えて」という言葉があります。障害を持つ人にとって演劇を観ることはなかなか難しいことです。まして演じる側になることはもっと難しいことです。さいわい日本ろう者劇団は黒柳徹子さんのトット基金との関係もあり、全国公演にいたる活動をしておりますが、世界演劇祭という場に観る側、演じる側として障害者が参加できることは、新しい演劇活動の展開につながることでとても期待しています。誰もが参加できる世界の優れた演劇の祭典に、障害者劇団が参加する意味はとてもおおきいことです。